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あれ以降、訪れる人の数が減ってしまった。
ふと気が付くと、私の家は隙間風が入るようになっていた。
家の周りには枯れ葉が目立ち、いつの間にか付いていた鈴もきれいな音を奏でなくなっていた。
引き戸はがたつき、開けるのも一苦労する。
そんな自分の家に時の流れを感じていると、久しぶりに人間がやってくる。
彼らを見てみると身なりが変化していることに気が付く。
人の姿は着物とは異なる鮮やかな“洋服”と呼ばれる衣類に代わっていた。
同時に履物も草履ではなく、革で出来た履物になっていた。
私は彼らの願いを叶えた後、自分の家の屋根に上って町を見下ろす。
町の建物を見てみると形状が変化していることに気が付く。
建物の姿は“こんくりーと?”という素材で出来たものになっていた。
ふと、自分の家と彼らの姿を比較するとどうにもみすぼらしさが目立っていた。
「なんで誰も私のことが見えないんだろう?」
そんな疑問が起きるまでにどれくらいの時間が経ったかわからない。
それでも疑問を持ったからと言って、私の存在は誰にも認知されなかった。
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