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朝食を摂った後、私はあの田んぼを探していた。
あの田んぼが見つかれば、あの湖に辿り着けると思ったのだ。
しかし、何故か、今朝は田んぼを発見することが出来なかった。
あるべき場所にあの田んぼが存在しなかったのだ。
探し回っている間に時は刻々と過ぎ、日が暮れ始めた。
真冬の日暮れは早い。
私は田んぼ探しを諦めて潔く帰路に着いた。
叔父の家に私が辿り着いた頃、辺りはすっかり暗くなっていた。
玄関の敷居を跨ごうとした瞬間、視界の端に何やら、きらきらと光るモノが見えた。
叔父の家は山の上にあって麓の方が良く見えるのだ。
私の視界の先には、あの湖があった。
湖が煌びやかに光っている。
あんな場所にあったのか。
田んぼなど探す必要は無かったのだ。
明日は、きっと彼処に行こう。
何かが私を突き動かしている。
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