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私はちゃんと湖に辿り着くことが出来た。
朝の澄んだ空気の中、真冬の空気の中、私は何を思ったのだろうか。
真夏でもあるまいし、下着一枚になるなど……。
私は下着一枚になり、湖に飛び込んだのだ。
きらきらと金色に光る水面に寒空の下、飛び込んだのだ。
外気も水も、とても冷たかった。
しかし、不思議なことに外気より水中の方が温かく感じられた。
私は何故、真冬の湖に潜ろうと思ったのだろうか。
息を大きく吸って、私は湖の底に潜っていった。
深いのか深くないのか、湖底には直ぐに辿り着いたのだが見上げた水面は遠くに見えて、よく分からなくなった。
しかし、そんなこと、どうでも良いと思ったのだ。
私の目の前には荒れ果てた沈没船があったのだから……。
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