12月5日

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昨日の夕刻、雨でも無いのに髪を濡らして帰宅した私を見て、叔父は何も言わなかった。 私の父のように怒りを露わにはしなかったのだ。 柔らかな笑みを浮かべて「おかえり、悠次郎」と言っただけだった。 否、それだけではなく、叔父は私を見て何を察したのだろうか、就寝する前に私の部屋に来て、私にシュノーケリングの道具を差し出してきた。 水着を貸してくれるとも云う。 何故、分かったのだろうか。 私が湖に潜ったことを何処で知ったのだろうか。 それとも、最初から知っていたのだろうか。 叔父は、あの優しい眼差しで私の心を読んでいるようだ。 それは別に嫌な気はしないが、分かっていながら私を甘やかし過ぎでは無いかと思う。 しかし、私が叔父の恩恵に甘えず湖に潜らない理由もない。 だから、私は叔父から借りたシュノーケリングの道具を使って、今日も朝から湖の底を探索していた。
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