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今朝、私は再び叔父に湖底の沈没船の話をした。
呆れたのか、単なる深呼吸だったのか、叔父は一つ深い息を吐いて、私に一つの話をしてくれた。
それは二十年前、遠くの海で一隻の豪華客船が沈没した話だった。
その海はこの山の上からも見えない。
しかし、叔父の話に出てくる沈没した豪華客船は紛れもなく、あの湖の底にある船だった。
何故なら、名前が一致したからだ。
『twilight』トワイライト号
突然の嵐だったと云う。
二十年前、予測不能な嵐に遭い、その豪華客船は大勢の乗客と共に夜海の底に沈んだ。
大人、子供関係無く、あっと言う間に。
叔父は誰から、この話を聞いたのだろうか。
此処に来て一週間が経とうとしているが、あんなに真剣な表情の叔父を見たのは初めてだった。
私は微かに恐怖を覚えていたかもしれない。
それでも、私は湖に潜ることをやめられなかった。
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