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しかし、今日は残念ながら中止である。
今日も一日中雨が止まず、私は湖に潜ることを諦めた。
それはそれは、とても落ち込んだ。
私の一番の楽しみを自然に奪われたのだから。
そんな私を見て、叔父がまた話をしてくれた。
海に沈没した豪華客船に乗っていた人々の話だ。
船には老若男女、大勢の人が乗っていた。
世界を一週するような大きな船で、色々な国から人を乗せていたと云う。
外国人が多かった中で日本人も数人、乗船していたという話も聞いた。
そして、叔父は話の最後に「悠次郎も乗りたかったか?」と私に尋ねた。
私は迷わず首を振ったが、叔父はただ私の顔を見て笑っていた。
単なる冗談だったようだ。
夜、叔父から明日は晴れそうだという言葉を聞き、私はホッと胸を撫で下ろし床についた。
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