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昨夜、遅くなっても叔父は帰ってこなかった。
今朝も叔父の姿を見ていない。
今日の昼に帰って来たかは分からない。
叔父が何処に出掛けたのか気になったが、今日も私は湖に潜りに行っていたからだ。
私は叔父に英語を教わることが出来なかったため、今日は一瞬、湖に行くことを躊躇った。
だが、山の上にしては珍しく折角の快晴だったため、行かない理由はない。
湖の底で彼女は私を待っていた。
少女は私より歳がいくつか下に見えた。
太陽の花が咲くような笑みに私は心を奪われ、シュノーケリングの道具を取ってしまいたくなった。
笑い返したかったのだ。
しかし、それは叶わない。
シュノーケリングの道具を取ってしまうと途端に視界が悪くなってしまう。
水中と船の中、意思の疎通は難しい。
彼女の表情だけが頼りなのだ。
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