12月10日

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何度目の潜水か分からない。 やっと湖底に辿り着いた私は窓の外から衝撃的な光景を目撃した。 船の天井につけられた豪華なシャンデリアがゆらゆらと大きく揺れ、人々が船内を走り回っている。 徐々に此方側へと傾き始める船の床。 テーブルや椅子と共に人々が床を滑っていく。 叫び声が聞こえてきそうな、そんな衝撃的な光景。 これは、この豪華客船が海に沈んだ時の記憶なのだと気付いた。 私は呼吸をしていない苦しさを忘れ、船内の惨事に見入っていた。 船外で何も出来ない私には、それしか出来なかったのだ。 ジッと見つめ、人が此方側に滑り、視界から消えていく様を見た。 すると、突然、ダンっという音と共に彼女が窓にぶつかってきた。 大粒の涙を流す碧い瞳と視線がぶつかった。 私は何もしてあげられない。 ただ、そっと私は窓に手を添えた。 彼女の手が窓越しに私の手に重なった時、窓が白く曇り始めた。 彼女の姿が隠されて行く。
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