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私個人の冬休み初日、私は父の弟である叔父の家に足を踏み入れた。
周りは森や田んぼや畑だらけ。
都会育ちの私には新鮮だった。
しかし、退屈な場所だということも一目で分かった。
やることなど無い。
私は何故、此処に来たのだろうか?
父に勧められたということもあるが、他に理由があるのかもしれない。
けれど、今の私では何も分からないのだ。
私は嫌で学校に行きたくない訳では無い。
突然、学校に行けなくなったのだ。
虐められた訳でも、勉強が出来なかった訳でも無い。
唐突に私の身体は学校に行くことを拒否するようになったのだ。
玄関で襲われる突然の吐き気。
一体、私が何をしたと言うのだろうか?
叔父は父に全く似ていない。
顔も声も背格好も性格も。
七三に整えられた黒い髪に細い縁の丸眼鏡。
格好は少々年寄り臭いが、叔父はとても若く見えた。
私の父は四十目前だが叔父は未だ二十代後半に見えたのだ。
私は叔父の父と違った柔らかな雰囲気に少しだけホッとしている。
時は明日も、ゆっくりと過ぎて行くのだろう。
私を置いて─────。
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