12月2日

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今朝、叔父が私を追い出した。 決して酷い言い方をした訳では無い。 優しく外の世界に送り出したと言っても過言では無いだろう。 つまり、早朝から散歩に出されたという訳だ。 朝の八時、朝食を食べて直ぐに歩いた所為か、久しぶりに脇腹が痛い。 しっかりと朝食を食べた証拠か。 久しく朝食を完食した記憶が無かった。 吐き気に襲われるのだから、と朝食を食べることをやめてしまったのだ。 さて、何処に行けば良いのか、と思いながらも私の足は田んぼに向かっていた。 何も面白いものが無いことぐらい分かっていたのだが、重たい足がそちらに動いたのだ。 冷たい空気に浮かぶ、私の吐く白い息。 それを追って見上げた先、田んぼの上で何か光る粉のようなモノが広がるのを見た気がした。
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