12月2日

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否、目の錯覚では無かった。 田んぼに煌びやかな金色の鱗粉のようなモノが降り積もっている。 まるで雪のようだ。 雪のように積もって雪のように田んぼの水に溶けていく。 溶けた金色の水は何処に向かうのか。 気が付けば、私は田んぼの横の水路に沿って水の流れを追っていた。 森の中へ入っていく。 山をくだるのだ。 そう思ったのだが、水路が山をくだり切ることは無かった。 私は森の中で湖に辿り着いた。 微かな水の流れる音、静かな空間、きらきらと光る水面。 吸い込まれそうなほど綺麗な青だ。 まるで、海水のようだった。 何が生息しているのか、私には皆目検討もつかない。 だから、私は元来た道を引き返したのだ。 未知の世界を置いて、私は逃げ出したのだ。 帰って叔父に話をしてみたのだが、叔父は柔らかな表情で笑って何も語ってはくれなかった。 もしかすると、何か秘密を知っているのだろうか?
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