13番目のアルカナ

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「あっ……やだ、死神が正位置で出ちゃったわ……」  大学の講義も終わった、夕刻の喫茶店。  目の前の紗栄子がテーブルの上に並べられたカードを見つめ、唇を震わせている。……ざまあみろ! 「涼也くんとは別れた方がいいと思う。彼って女たらしで有名だし、やっぱり紗栄子も遊ばれてるだけなんだよ」  そうよ、アンタみたいなクソブスが涼也くんと付き合うなんておかしい。彼と釣り合うのはこの私よ。 「……だよね。愛理のタロット占い当たるから……きっとそうなんだね」    すると紗栄子は、目頭を押さえながら立ち上がった。 「ごめん愛理……帰る。コーヒー代は払っておくね……」  当たり前だ、クソブス!! 泣け、そんでさっさと別れろ!!  紗栄子が居なくなると、私は鼻歌まじりにカードをかき集めバッグにしまった。  ケルト十字法で占う、私のタロット占い。  最終結果の位置に、自分が選んだカードが必ず来るようにずいぶん工夫も練習もした。  今では自由自在に、望むカードがラストに出るようにできる。もちろん、今みたいに死神が出るようにも。 「だいたい、世の中おかしいのよね……」    小さくこぼして、周囲をぐるりと見回す。
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