13番目のアルカナ

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 あっちの席では、牛みたいなデブ女とイケメンが楽しそうに笑ってるし、こっちのファンデが白すぎる女は、ブサメンどもに囲まれてモテ女を気取ってる。  隣の席に座ってる子なんて、変な黒いポンチョなんて着ててセンスの欠片もない。 「キモーい……」  思わず口に出てしまって、その女の子と目が合ったけどシカト。  それよりなんだか急に眠くなってきた。 (……ちょっとだけ目を瞑っちゃおうかな……)  頭が痺れ、喫茶店の景色が霞んでいく。  ──そして次に視界に映ったのは、カラフルでヘンテコなサーカステントの中のような場所だった。 「……は? 何このコミカルな世界」 「コミカル? 冗談だろ」  その声に顔を上げると、奥に据えられた大きな椅子から、赤い三角帽子を被った男の子が私に笑いかけている。 「ようこそ夢の世界へ。ゲームしようぜ。ベットはアンタの運命」 「夢? ゲームって……君は誰?」 「ボクはゼロ。ゲームに勝てばアンタの不満は一気に解消! ボクが得意なのは運命の輪を的にしたナイフ投げだけど、今日は特別にアンタの得意なタロットで勝負してやるよ」
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