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「ごめん、……なっ、さぃ」
荒くなる息遣いで綴られる。謝られる覚えはないが、何か思い当たるものでもあるのだろうか。
「……っ。ん、何?」
肌を重ね気持ちが昂る中、突然上から降り注がれる言葉。胸の奥がドキリと跳ねる。強弱の波が押し寄せる律動に頭の中がぼうっとしていた矢先だった。
覆いかぶさるように抱き締められ、首筋に唇を這わせたまま、善がる身体を愛おしく舐めまわす。
「ん……どう、したの?」
今まで顔をじっと見つめて攻め続けていた真人は、ゆっくり腰を動かしながら耳元でもう一度囁く。
「ごめん、ね……涼、先輩」
謝りながら耳を唇で啄み、舌で舐めなぞって軽く耳朶に歯を立てる。
「……あ、んぅ」
噛まれた跡が付いたであろう痛みに加えて、下から押し上げる動きに声が漏れる。
「先輩って、いつも……俺の云う事ばかり……訊くじゃない?」
低く耳の奥に染み込む企みを含めた甘い声に、抱き締め返す指先が痺れる感じがした。
「ん……そ、んな事……な、いっ」
少し抜いた昂りを最奥に突き刺すように、一気に捲られる。
「ああっ、や……」
クスリと笑う声が聞こえ、細く瞼を開く。狭間から真人の口角がニヤリと上がるのが見えた。ごめんと云いながら、身体の動きは反抗するように内側から弄っている。涼は優しい言葉の裏にある真人の見てはいけない意地悪な表情を瞳の奥に焼き付けた。
「まさ、と……んぅ。……もう」
我慢ならないと赤く染まる頬に、潤んだ瞳。眉間に少しだけ皺を寄せて困惑した表情。願っているのか、戸惑っているのか判別のつかない涼の顔を見るのが真人の楽しみの一つなのだ。
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