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俺や周りの人が何事かとその人を窺うと、悲鳴を上げながらその人はプレハブ小屋を指差した。
そこに、くっきりと染みが浮かんでいた。さっきまではぽつぽつとだったのに、今は、どこからどう見ても人間の形に見える、色も焦げ茶から赤黒く変わった奇怪な染みが。
程なくやって来た施設の人達に、悲鳴を上げながら長は錯乱状態に陥ったその人は、すぐさま屋内へと連れて行かれた。
その後、施設の人は、俺にこの件は誰にも言わないでくれと口止めし、ボランティアで来ていたにもかかわらず、いくばくかの賃金を他をされて帰されたため、あの染みの原因や、叫び出した人との関係は俺には何も判らないままだ。
ただ、あの時悲鳴を上げていた人が、錯乱しながら口走ったいくつかの言葉から、どうやらあの染みは、この施設に入居していたが、すでに亡くなった方と関連があるらしいことは判った。その方の死の原因が、どうやら悲鳴を上げていた人らしいということも。
それに関して、俺は手出しも口出しもできる立場ではないから、施設の人達の言うように、沈黙を守ろうと思っている。
ああ、そうだ。この件で一つ、心に決めたことがあった。
もうこんな思いをしたくないから、ボランティアサークルは辞めさてせもらおう。
プレハブの染み…完
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