『永遠だけが知っている』

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 火事が起きると、その時の紙を思い出すのだ。  何となく力尽きて、再びベッドに座ると、窓を見つめた。そうか、その後のことも知っている。学校でボヤが起き、次に、どこかの資料館で火災が起こった。  そして、又、サイレンを聞き、あの紙が戻ってくると俺は思っているのか。  眠って忘れてしまおうか、ベッドに横になると、ドアが開いた。 「遊部さん、百舌鳥さんから連絡がありました。百舌鳥さんは、火災現場に行っています。俺達も向かいましょう」  ドアには、丼池 成己(どぶいけ なるみ)と丼池 昂(どぶいけ すばる)が立っていた。この二人は、この家の息子であり、俺の職場、生葬社の同僚であった。  成己と昂は、同じ年であるが、双子ではなく、親が連れ子同士の再婚であったのだそうだ。 「生葬社か……」  百舌鳥は、生葬社の店長であった。百舌鳥から連絡が来たということは、これは、異物(インプラント)が関わる事件だということだ。 「分かった」  急いで着替えると、部屋を出る。火事現場は、かなり近く、車よりも歩いた方が早かった。  住宅街の細い道に、並ぶように消防車が詰めかけていた。その先頭まで行くと、小さな物置が全焼していて、女性が消防員に何度も頭を下げていた。  似たような景色を見た事がある。俺の近所でのボヤも、同じ光景であった。 「誰か、いなくなっている人がいませんか?」  野次馬が、この家の主人が見当たらないが、物置には何もないと言っていた。 「地下です」  俺は、火事現場に行くと、地面を足で蹴ってみた。 「何をしている、止めなさい!」  消防員に羽交い絞めにされたが、物置の床が抜けた。 「地下……」  羽交い絞めを外すと、僅かにみえた隙間に手を入れ、乗っていた鉄板をどかした。まだ鉄板が熱い。錆びていて、地面の色とそん色がないので、誰も鉄板が地面にあるとは思っていなかったのだ。 「きゃあああああ」  鉄板の下に、うずくまっている男がいた。背の服が燃えて溶け、赤い皮膚が見えている。意識がないようであったが、呼吸はしていた。 「救急車!」  今度は助かって欲しい。  でも、この似た状況に過去の記憶が蘇る、今度こそ謎を解いて欲しい。  俺は、物置の下を覗くと、そこにあったドブに走り降りる。人目を盗んで、沈んでいた紙の包みを出した。  何故、この包みは隠され、何度も燃えているのか。
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