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ニニが彼を見上げて首をかしげる。
「あ、どうかしました?」
「帰る」
「え!?待ってくれるんじゃないんですか!?何で急に・・・ちょっ!ヴァルトークさん!!」
必死で止めようとするニニを完璧に無視し、ヴァルトークは素早く部屋を出ていった。
左右に伸びている廊下を迷わずに左に曲がっていく影を慌てて追うが、ニニがドアから顔を出した時には――ヴァルトークの姿はなかった。
「――え・・・?」
――どうしよう。
「少尉、どうしたの?」
呆然と突っ立っているニニの後ろから、凛とした声が響いた。
ギクッとして振り返ると、そこにはポニーテールの女性が立っていた。
「た、大尉、その・・・」
「あの人はまだ寝てる?」
「あの、すみません・・・帰っちゃいました・・・」
あはは、とひきつった笑顔を浮かべるニニ。
そんな顔になる理由は、先程言った「ヴァルトークに聞きたいことがある上官」とは彼女のことであり、でも彼女が来る前にヴァルトークは帰ってしまったことになるからつまりは命令を遂行できなかったという訳で。
「――いつ!?」
「つい今しがたです!!!」
案の定、怒気のこもった声が返ってきたのでひぃい!!と涙目になってニニが叫ぶように答えると、女性は急いでヴァルトークの後を追っていった。
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