前奏 - preludio -

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+    +    +   「クロード様。まもなく終点でございます」 その声に、青年は目を覚ました。 うーん、と伸びをして、青年は欠伸をしながら声に返事した。 「あー・・・ごめん、寝てた?」  青年は何処かのパーティーに行くかのようなタキシードを着ていた。驚くほど似合っている。目を擦りながら、彼は右にある窓の外を見た。  ビルや街灯などの明かりで輝く夜の都会が広がっており、それは流れ星のように後方へと流れていく・・・。  彼は、列車の中にいた。 ――ガタンゴトン、ガタンゴトン。 一定のリズムを刻みながら、大きな旅客列車は次の目的地へ走っていく。  綺麗な藤色の長髪をかきあげ、青年は深い紫紺の瞳を静かに細めた。 「・・・アヒル拳銃って卑怯だよね」 「はい?」 「ーーううん、なんでもないよ」  怪訝そうに返す車掌に、青年はクスッと笑みを向けて立ち上がった。そして茶色いトランクを右手で持ち、ボックス席を出て通路に出る。 ――叔父さん。 俺は、何で生きてるんだろうな? あんたは、俺を助けてくれたあんたは、もう――・・・。 「じゃあ、また」  青年は車掌へ最後にそう挨拶すると、星空のような大都市の街へと足を向けた。
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