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2.発熱
翌朝、ずきずきする頭痛で目が覚めた。ひどい寒気がする。何とか起き上ったけど身体が重い。熱を測ると38℃近くあった。ピアスをはめた両耳も腫れぼったい。
とても学校に行けそうになかった。病院に行こうかと思ったけど、自力で病院にたどり着く自信がなかった。こんな時、一人暮らしは不便で心細い。部屋で安静にして体力を回復させることにした。ベッドにもぐりこんで毛布をかぶり丸くなる。
夕方になっても体調は回復しなかった。食欲もないままベッドで横になっていると、ドアのチャイムが鳴った。重い体を引きずるようにして出てみると、知佳が心配そうな顔で立っていた。肩にトートバッグを提げている。
「彩夏さん、押しかけて来てごめんなさい。講義に来てなかったでしょ、心配になって来てみたの」
「今日は熱があるのと、頭が痛いので休んじゃった」
「もしかして、昨日のピアスのせい?」
「わかんない。でも、もしかしたらそうかも」
知佳は顔を曇らせた。
「わたしがあのお店を紹介してしまったせいよね。ごめんなさい」
「ピアスのせいと決まったわけじゃないし、あなたが悪いわけじゃないわ。気にしないで」
「彩夏さん、顔色がよくないよ。ごはんはちゃんと食べてる?」
「食欲がなくって・・・」
「食べないとよくならないわよ。いろいろ買ってきたから、何か食べられるものがないか見てちょうだい」
知佳はトートバッグの口を広げた。いろんな食品がはいっているようだ。とりあえず部屋に上がってもらうと、知佳はバッグの中身をてきぱきとテーブルに並べていった。レトルトのおかゆやポタージュスープの缶詰、カップ入りのプリン、スポーツ飲料などなど。その中に半透明の密閉容器があった。液体の中に半円形のものが浮かんでいる。
「林檎のコンポートを作って来たの、食べてみる?」
彼女の手作りのものみたい。食欲はないままだったけど、少し頑張ってみようと思った。
「ちょっと食べてみようかな」
「よかった。このままじゃ味気ないから、器に移し替えて来るわ。お台所を貸してね」
知佳はキッチンに行って、持ってきた器にコンポートを移し替えた。
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