第1章

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愚者は気紛れだった。 荷物を持たず、すぐにふらっと何処かに行ってしまうその光景は正に放浪者そのものである。 猫のように自由奔放で、自分の気になる事だけを求めその地に足を運ぶ。更にそれに飽きれば、また次の興味へと足を運ばせる。 一瞬目を離せば、あっという間に姿が見えなくなるのがデフォルトであった。 それを将来の理想とし、放浪の旅に憧れている少年がいた。 星野家次期当主、星野蒼(ほしのあおい)。 彼は自由と正義を生きがいとして今日まで辛い鍛錬をしてきた。 特に星野家代々伝わる洋術。 最近になってようやく使いこなせるようになった程だ。 それほどまでに星野家式洋術は習得が難しい。 蒼はどちらかと言えば、魔法よりも物理の方が向いていると自負していた。 その為、父には内緒で物理の力を魔法に転換するなど自ら工夫し、策を練っていたりする。
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