第1章

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「また今日も、修行…か。」 部屋の隅で窓から顔を覗かせ、まるで水のように澄んだ青空を見上げた。 清々しくもある、こうも雲一つもなく晴天だと、逆に嫌気がさしてならない。 今日はせっかくの日曜日なのに自分の好きなこと一つやらせてもらえない。そして友達と会わせて貰えない。 このまま行ってしまえば、つまらない青春時代を送ってしまうのかもしれない。 頭の中でそう考えると、自分の中の自由主義魂が闘志を燃やした。 カードケースから一枚のタロットカードを取り出す。 『愚者』。 「俺は、俺の道を進む…。」 そして自由を掴むんだ。 目を瞑って固く自分の中で決意をした。 すると途端に風が吹き荒れた。蒼の天然の紺色の髪が風にたなびく。反射的に手で抑えると、背中から寝ぼけたような声が聞こえてきた。
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