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「あ…れー……お兄様こんな所で空見上げてどうしたの…。」
ふぁ、と間抜けた欠伸をしながら眠気眼で蒼を見つめる一人の向日葵のような明るい雰囲気を持つ少女。
この家で唯一、水色のローブを着ている人なんて“一人”しかいない、と勘ぐった。
「なんだ、お前か。」
その言葉と共に後ろを振り返ると、その少女は顔に嬉色を浮かべた。
「うっす。驚かせてごめんね~。」
こんな寒い冬空の中、健康そうな肌色の足を覗かせながら軽々しく蒼に接する。
この少女の名は星野雪実(ほしのゆきみ)。小柄な見た目ながらも多くの魔力を所持することから次期当主である蒼のサポート役。
雪実にも次期当主として十二分の才があると思われるが、生まれつき身体が弱いのと、魔力が安定しないことが原因で地位を下ろされたわけだ。
しかし蒼はこの状況に不覚にも満足している。
もし運命がたがえ違え、彼女も次期当主の地位に立ってしまうことになったらいろいろと面倒くさいことになりそうだからだ。
周りからの偏見、親からの叱咤やプライドも全てぶつけられそうで嫌だった。
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