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その後の蒼も、呆然と立ち尽くしたまま何もせず、時間だけが過ぎていった。
先程まで晴れ渡っていた青空も、次第に雲行きが怪しくなりやがてぽつ、ぽつ…と小さな雨粒が降り掛かってきた。
青色から灰色へ。それは今の空の色にも言えたことだし、蒼の心模様にも同じことが言える事だ。
「どうすりゃいいんだよ…」
家族を守るという硬い決心を胸に次期当主の修行を受ける事にしたはずだ。それなのにここ最近、怠けた気持ちが勝ってきている気がする。
蒼が想像していたものより洋術習得は非常に辛いものだった。タロット21枚を駆使することなんて、魔力の少ない者には苦でしかない。
ずっと悩んでいたせいか、雨が本降りになっていたのに気づかず、身体がびしょ濡れになっていた。
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