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「だいたい、何で爛がひよ以外をお姫様抱っこするの?」
「仕方ないだろ」
「それでも嫌なものは嫌!」
少女の不機嫌そうな声と、男性の無関心そうな声。
その2つの会話に引っ張られたように、私は意識を取り戻した。
重い瞼を開け、ぼんやりと天井を見上げる。
「あ、起きた!」
少女の方がそう声を上げたと同時に、駆け寄ってくる足音が聞こえた。
そして華奢な少女が、私を覗き込んでくる。
「...もしかして、目開けてまだ寝てる?」
上手く反応できないあたしに、彼女は少し怯えたような顔をした。
「ううん...起きた......」
「喋った!」
「ひよこ、うるさい」
私の視界の外から男性がそう言うと、少女は私から目をそらし、むっと頬を膨らませた。
「爛ひどい!それにいつも言ってるけど、ひよこって呼ばないで!」
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