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キンコンカンコンと、聞き慣れた高い音色が校内に鳴り響く。終業の合図だ。
本日も無事に終了し、皆が帰り支度をしながら、教室に担任が戻って来るのを待つ。
そんな中、一人の男子生徒がその前に座る男子生徒に話しかける。
「なぁなぁ秋(シュウ)、この後どっか行かねえか?」
「悪いけど、この後用事があってな、今日はパスするよ」
「そういう時は大抵ゲームだろ?お前は…」
秋と呼ばれた少年は、後ろの男子生徒の言葉に苦笑いを浮かべる。図星の証拠だ。
これが何時もの光景。変わることのない平和な光景。
だが、次の瞬間、
「グッ………!!」
秋が低い声で呻き、その場に蹲る。
「オイ!秋!大丈夫か!?」
先ほどの男子生徒も、苦しげに呻き続ける秋の元へと駆け寄り、「何があったのか」と、他のクラスメイトたちも秋に駆け寄る。
「ァ……ガァ……ガッハ…!」
そんな中でも、秋の苦しみは増大し続け、辛そうに咳き込むと、タンとともに夥しい量の血が、口から零れ落ちる。
………俺は、死ぬのか?
苦痛の中で、秋は一人、自問自答を続ける。だが、やがてはそんな気力すらも消え失せ、段々と意識が遠のく。
コレをきっかけに、秋は己れの死を覚悟し、そっと目を閉じた。
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