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辛うじて教室から転がり出るが、それでも危機は終わらない。
「オイ!そいつを逃すんじゃねえぞ!」
教室の中から怒号のような声が響き、それを聞いた廊下にいた生徒が、秋に向かって拳銃を構え、弾丸を放つ。
「っ……くそッ!」
弾丸によって引き裂かれた空気が、秋の頬を、頭を、胴を、脚を次々と掠めていく。
このままでは当たるまで時間の問題。
だが、止まれば確実に命中する。その上、他の教室やトイレにまだ残っていた生徒まで援軍として現れるため、状況はみるみる悪化していく。
しかし、秋はこの状況を徐々に把握しつつあった。
何故なら、こんな状況を生み出す要因など一つしかないから。
「まさか俺が暗愚になるなんて……!」
今まで、暗愚に陥ったヒトがヒトに襲われ殺されるサマは数回見てきたが、まさか自分が陥るとは思っても見なかった。
だけど、ここで死ぬわけにはいかない。ならどうするか、どうすれば逃げられるか。
今いるフロアは4階。少し賭けになるが、このまま階段を使うよりは遥かに勝てる確率の高い賭けだ。
迷っている暇はない。秋は決意し、
「南無三!」
窓ガラスに向かって思い切り跳躍し、その勢いで窓ガラスを破壊、校庭へと落ちていった。
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