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はっ、もしや私の気持ち気付かれてる?!
それで、もしかしたら慈悲深い心でデート位経験させてやろうとか?
彼氏のフリ位してやるぞって事?
「あたたた」とか「かかかか」とか意味不明の音しか出せない私を可笑しそうに見降ろし、先輩を振り返った真崎氏
「この浴衣、もうちょっとお借りしててもいいですか?」
とか勝手に聞いてるし。
先輩も「どうぞどうぞ、なんなら明日まで」とか言ってニヤニヤしてるし。
ルナちゃん待って!違うの!
そのスマホ、もしかして、バイト仲間に教えようとしてない?
これ以上は私の傷が深くなるから!
慌てて「まままま待って!」とルナちゃんに駆け寄ろうとして、踏み出したはずの下駄が何故か途中で止まり、足がもつれた。
先輩の手も真崎氏の腕も空を切り、バランスを失った上半身が宙を泳ぐ。
泳ぎながら足付のクーラーボックスを倒し、そばにいたお客さんがキャーと言いながら逃げて、回りに人垣ができたその中心で、水浸しの店先に這いつくばってしまった。
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