prologue

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「それで先日の料理はお仕事のお役にたてたんですか?」 洗った食器を拭きながら、急にそんな事を聞いてきた。 「あぁ、それは首尾は上々」 キッチンカウンターのスツールに腰掛け、タブレットでニュースを読んでいる体だが、その実彼女のドジ記録から使えるネタはないかと思案中だった。 おっと、そのコーヒーカップは慎重に扱ってくれ。 いや、お手玉して必死に受け止めるまでの百面相は面白過ぎるけど…… だからその勝ち誇ったような顔が…… クッ笑うなって方が無理だよ。 やはり隠しカメラを増やした方がいいな。 「コホン、真崎さんのミステリー小説、私も読んでみたいんですけど、タイトル教えてもらえれば、あ、ペンネームなんですか? 良かったらそれも教えて頂けたら自分で見つけますので」 「悪いけど秘密なんだ、担当の編集しか知らない。 璃子ちゃんを疑う訳じゃないけど、知らないままでいた方が君にとってもいいと思う」 「え、あ、そうなんですね。 ははは、そう言う事なら……」
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