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「また転ばれたら面倒だから」としっかり手を握られ、屋台を眺めて歩く。
勧められるままにヨーヨー釣りをして、チョコバナナとたこ焼きを買ってもらって、唇にチョコが付いてると指で拭われた。
まるでまるで、本当のカップルみたいな事をされて、いつもの自分だったらすっかり夢見心地になってると思うけど、さやさんの言葉を思い浮かべては混乱しながらも考える。
『小説のモデルにぴったりなんですって、あなたが』
真崎氏がなんで私をモデルにしているのか、なんで秘密なのか、それは教えてもらえなかったけど、きっと私みたいに恋愛経験のない女の子なんだろう。
それで、こんな風に気になる異性と接触したりして、怖気付いたり戸惑ったり恥ずかしがったりする様を観察して、人物描写の参考にしているのかも知れない。
きっとそうだ。
私の気持ちなんてすっかり見透かされていて、利用しているのかも知れない。
何だか悲しくなって来た。
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