ドジな私に愛の手を 2

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厨房に向かう私の背後で、彼女がひそひそと彼に耳打ちする気配がした。 耳が、囁く彼女の声の断片を勝手に拾ってしまう。 「例の…ふふふ」 例の、ふふふ? 私のドジな勘違いの顛末をネタにして笑っていると思うのは、自意識過剰の被害妄想だろうか? その本命らしい彼女は料理をしない人で、真崎氏が私に料理を頼んでいる事を実はよく思っていないとか? そんな彼女のご機嫌を取るために、如何に私がドジでまるで対象外なのかを説明済み、と考えると筋が通るじゃないか。 いや筋が通ってもちっとも嬉しくない。 あの余りに痛い自分の言動を『パニック状態で良く覚えてない』とか何とか誤魔化したけど。 まさか、それも教えてたりしないよね? キスを迫られたなんて…… 彼女に言うような人じゃ ない…… よ、ね?
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