ドジな私に愛の手を 2

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その上、マスターの趣味なのか浴衣にレトロな白いエプロンを支給されてコスプレ紛いな姿なのだ。 一緒にドリンク類を売っているバイトのルナちゃんも同様。 「暑いけど、これ可愛いいですよね! カフェも普段からこの格好で応対したらお客さんが喜ぶと思いませんか?」 とか、最初はご機嫌だったルナちゃんも「カキ氷食べたいですよね~」とこっそり愚痴をこぼしながら笑顔でお客さんの相手をしていた。 私もしかめて見せた顔をパッと笑顔に作り変えて正面に向き直る。 焼いたウインナーを紙容器に入れたドッグパンに挟み、ピクルスを添えてお客のカップルに渡す。 「ケチャップとマスタードはお好みでどうぞ」 代金を受取りながら、嬉しそうに笑い合うカップルに暫し見惚れてしまった。 お祭りにカップルなんて珍しくもない。 たとえ自分が一度もこんなふうに目線で言葉を交わしあったり 寄り添って歩いたり 「ケチャップついてるよ」なんて言われて 指で拭ったりされた事がなくったって またまた彼氏がその指をペロリと舐めたりしているのを見せつけられたって べ、別に羨ましくなんかないから。
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