第三章

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終電過ぎた時間になっても、彼は帰ってこなかった。 映画も観終わってしまい、メールの返信がない。 帰ってこないなんて、一度もなかったから、心配になり、 「いまどこ?」 「大丈夫??」 画面はいっこうに既読にもならなかった。 翌朝、始発で帰ってきて、 終電に乗り遅れたこと、 充電がなくなったことを説明され、 夜遅くて先に寝てるかと思ったから連絡しなかったことを謝られた。 心配していたことが悔しくて許すきになれず、 浮気を疑うことはなかったけれど、 「何か事件でもあったのかと思った! それに浮気だと疑われても仕方ないよ! もう、終電前に帰ってきてくれなきゃ飲みに行かないで!!」 と私が一方的に怒った形になった。 彼は、どうしたら許してくれる? と謝り、喧嘩したのは、それっきり。 それ以来、約束は守ってくれている。 それきり、喧嘩という喧嘩はしたことがない。
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