入ってきたのは

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   ふぅっと、耳元で息を吹きかけられて、身体がゾワッとした。 嫌悪感からそうなったと思いたいけれど、悔しい事にそうではなかった。 そんな自分の反応を認めたくなくて、固く目を瞑り、このまま寝たフリをし続ける事に決めた。 いきなり何するんだって、弟に文句の一言ぐらい言ってやりたい所だ。 けど、弟からしたら僕は寝てると思われてるので、急に起き上がったら不審がられてしまう。 それを思えば、何も出来なくて……何とか耐えるしかなかった。 嫌がらせ……なんだろうか……? だとしたら何も、僕が寝てる隙を狙ってこなくてもいいのに……。 悲しくなる気持ちとは裏腹に、弟の吐息と体温を近くで感じる度、僅かに自分の体温が上がってるのが分かった。 そんな自分の変化を知るのが嫌で、回されてるこの腕を外したかった。 けど、それすらも出来なくて……大人しくする以外、僕には他に選択肢はない。 でも、その選択が間違いだったと、すぐ後に知らされる。 「兄さん……」 少し掠れた声で、弟が僕を呼んだ。 背中から伝わる熱に、回された腕だけでも、変な気になりそうなのに……耳元でそんな声で呼んでくるのは、勘弁して欲しかった。
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