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後ろに感じる圧迫感と同時に前への刺激も加わって、更に訳が分からない状態だ。
早くこの状態から開放して欲しい。
そんな逃げに近い気持ちが頭を過ぎったけど、直ぐに思い直す。
シャツから漂う晴人の匂い。
僕に触れてくる晴人の手の感触。
晴人から与えられる刺激と圧迫感。
今感じているもの全てが晴人と繋がる事で生じてるんだと思うと、もう少しこのままでいたい気持ちになった。
「っ……時雨、兄さん……?」
僕がギュッとシーツを握り締める手に力を込めた瞬間、晴人の心配そうな声が聞こえて覆ってたシャツを少しずらされた。
「時雨兄さん……ツラくない?」
布越しじゃなく直接空気を吸い込める開放感から、少し顔を横に向けてゆっくりと閉じていた目を開く。
視界に飛び込んできたのは、近い距離にある晴人の顔。
額から汗がいくつか流れていた。
暗がりの中だからハッキリとは見えないけど、顔が少し上気してる様にも見える。
「涙の跡があるけど……大丈夫?」
ジッと見ていると晴人から再び声がかかり、そこでハッと意識を戻す。
噛み締めていたシャツがいつの間にか口からなくなっていたのに、上手く喋る事が出来なくて僕は首を縦に振った。
「……あと少し、頑張ってね」
口の端を上げた晴人は、いい終えた後に僕の口を塞いだ。
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