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「んんっ……」
ぐっと押し込まれて声が漏れたけど、晴人に口を塞がれていたから抑えられた。
今ので……全部入ったんだ。
もう既に入りきったと思っていたから、僕の思い違いだった事に気づかされる。
「……入ったよ」
僕の考えてたことを読んだかのように、口を離した晴人が言った。
「……うん」
「痛く、ない?」
「……うん」
晴人に聞かれて、急に恥ずかしさが襲ってきた僕は、小さな声で返す。
この距離には慣れているはずなのに、いつもと違うから落ち着かないでいる。
「あー……なんか、凄くいい気分」
そわそわしてる僕と違って、晴人が嬉しそうに言ってきた。
けれど、余裕があることに少しだけムッとしてしまう。
「……随分、余裕……なんだな」
「余裕? そんなの、あるわけ無いよ」
思ったままを口にすると、間髪入れずに晴人から予想外の言葉が返ってきて、目を見張った。
「う、そだ……」
否定をする為に出した声は、自分でも分かるぐらいに力を失っていた。
「ずっとこうしたかった相手と、初めて繋がったんだよ? 余裕なんてないでしょ」
「んっ……」
真っ直ぐな晴人の言葉に、急にたじたじになってしまった僕は、顔を背けようとした。
けど、それよりも先にキスされて叶わなかった。
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