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「……あー、きもち、い……」
深く息を吐きながら、晴人が言ったのが聞こえてくる。
その声が上擦っていたから、わけも分からず僕の気持ちも高揚した。
けれど繋がったことで満たされてしまったのか、再開された行為自体に僕は気持ちいいとかは正直よく分からない。
でも、晴人が気持ちいいと言ってくれるなら、それでいいと思う。
僕にとっては行為そのものよりも兄弟の枠を超えて晴人との距離が縮まったことに、気持ちよさを感じている。
今も後ろから受け入れてる僕からは、晴人の姿は見えない。
当然、どんな表情をしているか分からないのに、見なくても頭の中で不思議と想像が出来てしまう。
もしかすると振り向いて確認したら、晴人は僕の想像通りの表情を浮かべていないかもしれない。
でも、大きく違ってることはない自信だけは持てた。
ずっと……晴人のことがよく分からないと思っていた。
それが今は少しは分かるようになっていて、素直に嬉しい。
だから今だけは、余計な事を考えず晴人の存在だけを感じていたい。
強くそう思った僕は、ゆっくりと目を閉じた。
視界を真っ暗にしたことで、僕の腰を掴む晴人の手に意識が向く。
僕よりも大きな晴人の手。
がっしりと掴んでるその手から、まるで熱を貰ったように僕の身体が熱くなるような錯覚を覚えた。
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