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「ここ……いいの?」
晴人に擦られる度、ある箇所で反射的に僕の身体が跳ねた。
反応する所で動きを止めた晴人が、すかさず問いかけてくる。
それに対して僕は、また何も返せなくてジッとするしかなかった。
「ま……口がふさがってるし、答えられないよね。ごめんね、ここを擦るたびに可愛い反応してくれるから、つい聞きたくなっただけ」
「んんっ……」
奥を抉りながらそう言った晴人に、僕はシャツ越しに堪えきれない声を漏らす。
「……時雨、好きだよ」
いつの間にか僕の耳元に口を寄せてきた晴人が、耳朶を甘噛みしながら言った。
その瞬間、急に周りの音が聞こえなくなった。
一瞬、耳の調子がおかしくなったのかと心配したけど、暫くしてバクバクと大きく響く自分の心臓の音を聞こえて安心した。
僕の頭には晴人が告げた言葉がずっと回っていて、心臓が壊れそうになる。
叶うなら、『僕も』と一言だけ返したかった。
けれど、噛み締めてるシャツが邪魔して言えなかったし、余裕もなかった。
僕に覆いかぶさっていた筈の晴人はいつの間にか上体を起こしていて、抽挿する動きを早めていった。
身体ではそれを感じるけど、僕の思考は逆に働かなくなっていき、何も考えられないぐらいに真っ白になった。
けれど、晴人が動きを止めて呻った声ははっきりと耳に届いて、僕の中で達したことが分かった。
その瞬間、僕の胸には嬉しさが広がった。
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