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僕、佐々木時雨(ささき しぐれ)は、二つ年下の弟の晴人(はると)に、ここ最近まで、ずっと嫌われていると思っていたんだ。
小さい頃ーーそれこそ、お互い小学生だった時ぐらいは、仲良くやれていた気がする。
けれど、確実に僕達兄弟の仲が変わってしまったのは、弟が中学生になった時だった。
きっかけになったのは、僕が当時付き合ってた彼女だ。
その彼女とは、中学二年の終わりに告白されて、付き合い始めた。
地味な顔立ちをしている僕は、今までモテた事が無かった。
代わって弟の方は、僕とは違って見た目から華があるし、人懐っこい性格だったから、いつも人の中心に居たし、モテていた様に思う。
バレンタインの時とか、チョコを渡しに女の子が家にまで来てたし。
僕に関しては、言わずもがな……義理以外のチョコなんて、貰った事がない。
同じ家で育ってる筈なのに、僕達兄弟は、小さい頃から真逆の存在に近かった。
そんな過去まで思い返してみると、告白されたあの時、僕は初めての経験に、少し舞い上がっていたに違いない。
そして付き合う事になったんだけど、実際には友達とさほど変わりのないままだった。
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