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少女は、うなずいた。 ユウヤはドキリとした。あの目だ。千年も一人で生きてきた人のような孤独な目。 「わたしといっしょに来てほしいの」 「どこへ?」 「あなたのような人を待ってたの」 レラに手をひかれ、ふわふわと、ろうかを歩きだす。レラはユウヤを地下の階段へと、いざなった。 黒い穴の底に入っていく。 そこで、とつぜん、視界が真っ赤に染まった。 ユウヤは、とびおきた。 (夢……か) あたりは、まっくらだ。 腕時計を見る。暗闇で光る蛍光塗料の文字盤。八時すぎになっていた。三、四時間、寝てしまっていた。とっくに日が暮れている。 (今日は、ほんとに、ここで泊まりかな) ぶじに朝になって、何年かさきに笑い話になればいいのだが。 のどがかわいた。それに空腹だ。リュックのなかに多少のお菓子はある。でも、夜には町に帰って、みんなで飲む予定だったから、たいしたものはない。 (まあ、ないよりマシか) 明かりがほしいと思い、懐中電灯をさがした。懐中電灯はヒロキの枕元にあった。ヒロキも、すっかり寝入ってる。 ふと、ユウヤは違和感を感じた。 なんだろう? 今、視界に入ったもので、妙なことがあった。 ユウヤは、ゆっくりと、懐中電灯の光を周囲に向けた。 ベッドの数は六つ。六人部屋だ。 ユウヤが寝てしまう前は、ここに、みんなが、それぞれ、すわっていた。 アスヤとナツキ。ナオトとエリカ。ヒロキ、キリト、ユウヤは一人ずつ。 いま見ると、ベッドは五つ、うまっていた。ほんとなら、それで数があう。でも、よく見ると、アスヤとナツキは別々のベッドで眠っている。 (誰かいない) ユウヤは懐中電灯の光をあて、一人ずつの顔をたしかめた。光をあてられて、みんなが目をさます。 「なにするんだよ。ヒロキーーって、ユウヤか」 文句を言いながら、アスヤが起きてくる。 となりのベッドはナツキ。一番手前はヒロキ。 折り返して二列めの手前には、キリト。 まんなかがエリカ。 「ナオトだ。ナオトがいない」 みんなは、まだ状況がのみこめないらしい。 「ナオトが、どうしたって?」 「眠ィよ。起きると腹へってんの思いだす」 口々に、ぼやく。 「それどころじゃないって。ナオトがいないんだ」 「ナオト? なんで?」 「ベンジョかタバコじゃないか?」 「この状況で一人で行くか?」 ユウヤのあせりが、やっと伝わったらしい。
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