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「まあ。行かないよな」
「探そう」と、ユウヤは、みんなをうながす。やっと、みんなはベッドを起きだしてきた。
「あ、雨やんでる?」
ろうかに出たところで、エリカが、つぶやく。ろうかの窓から外が見える。雨はやんでいた。
「おまえ、ナオトのこと心配じゃないの?」
ヒロキは、ちょっと、あきれてる。
「だって。どうせ、イタズラだって。ナオのやりそうなことでしょ? そのへんに隠れて、みんなが、あわてたとこで出てくるんだよ」
まあ、いつものナオトなら、やりそうなことだ。でも、今回は違う気がする。
「ねぇ、ナオト、隠れてるんでしょ? 出てきてよ。わたし、疲れてるんだからね」
エリカは笑いながら、となりの病室をのぞいた。
「ほら、いたぁー。ナオト。みんなが怒ってるぞ」
そう言って、エリカは病室のなかへ入っていく。
懐中電灯は、まだユウヤが持っていた。
ヒロキがとりあげ、走りだす。ユウヤも追った。
ドアの前まで来たとき、なかから悲鳴が聞こえた。エリカの声だ。
「どうした? エリカ」
ドアはあいている。そこから、なかをのぞいた。
窓辺に誰か立っている。黒くシルエットになっているのが、星明かりで見えた。
その人影の前に、エリカがいた。
ヒロキが、そっちに向かって懐中電灯を向けた。ヒロキも悲鳴をあげた。ユウヤは、すくんだ。背後でキリトやアスヤも息をのむ。
「な……なんだよ。これ……」と言ったのは、誰だったろう。
ぼんやりしてたので、わからない。
それも、しかたない。だって、友達のこんな姿を見たら……。
ナオトは一見、立ってるように見えた。でも、それは錯覚だ。
ナオトに立てるわけがない。ナオトには、もう足がないんだから。胸から下の肉が、ごっそり、なくなっていた。
出窓によりかかり、血みどろの服だけが、ヌケガラみたいに、へばりついている……。
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