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ユウヤは答えを求めて、キリトを見た。 キリトは首をふった。 「おれじゃない。ロッカーあけたら、倒れてきたんだ」 まあ、そうだろう。 死体のこの冷たさは、死んでから、かなりの時間が経っている。 「マサルじゃなかったんだ……裏切り者」 それどころか、まっさきに犠牲になっていた。たぶん、最初に病院内に入ったとき、人知れず、殺されていた。本当の『裏切り者』によって。 その証拠に、マサルは食べられていない。よく見ると、首をしめられたような跡がある。 「きっと、自分の正体に気づかれそうになった裏切り者が、マサルを。 それか、あとで、おれたちのなかに裏切り者がいるとわかったとき、マサルのせいにするために……」 キリトが、ユウヤを見あげてくる。 「おまえじゃないよな?」 「違う」 「おれでも、おまえでもないなら、誰なんだ。もう生きてるやつなんてーー」と、言いかけて、キリトは叫んだ。 「そうか! ナツキさんか」 たしかに、それしかない。裏切り者自身も食べられてしまっているのではないかぎり。 そう思えば、急に姿を消してしまったのも怪しい。 キリトが、たずねてくる。 「どうする? ナツキさん、探すか?」 「探しながら、ルナを退治しよう。あと三体だっけ」 とにかく、武器がいる。 「メスでもなんでもいいから持ってないと。急がないと、どこに、ひそんでるかわからない」 「じゃあ、とりあえず、これを持ってて」 レラがハサミを渡してきた。けっこう大きいやつだ。 「これ、どうしたの?」 「ナースステーションにあった備品よ。ないよりマシでしょ」 マシどころか、たのもしい。 だけど、心配なのは懐中電灯だ。さっきから、ときどき点滅する。 「急ごう」 「二階のやつなら、居場所がわかってる。さきに、あいつを始末してしまいましょ」 「ほかに武器はないかな?」 「地下に行かないと。一階の手術室は、もう使ってないから。使える器具は全部、地下の実験室に移したの」 「しかたないな。じゃあ、さきに二階に行こう」 もうすぐ夜が明ける。 窓の外が、ほのかに明るい。 それまで懐中電灯の電池が、もてばいいのだが……。 三人で二階に、あがっていった。 やっぱり、ナツキの姿はない。 「キリト。鍵」 病室の鍵をあけるよう、キリトをうながす。 キリトは深呼吸をして、鍵穴にカギをさしこんだ。カチリと音がした。
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