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そうだ。わかる。道理なんて通用しない。 たしかに、シオンの見ためは、とびきり綺麗だ。でも、その心はクリーチャーだ。だから、彼の実験はクリーチャーばかり生むのだ。 「そんなことより」と、レラが、あたりを見まわす。 「ここにルナは二体いたはずよ。もう一体は、どこ?」 「僕が来たときには、こいつが一体いただけだよ」 シオンが足元のルナの死体をさす。みごとに頭が割られている。 ユウヤは、やっと少し気をとりなおした。懐中電灯で念入りに周囲をてらす。ベッドの下や子どもが隠れていられそうなところも、丹念にしらべた。が、やはり、ルナはいない。 「なあ、ここ、一回あけたよな」と、キリトが言うので、ユウヤも考えた。 「うん。ヒロキの悲鳴が聞こえたときだろ? あのときは、ヒロキの死体に気をとられてたし。 それに、ルナが分裂して増えるモンスターだなんて知らなかった。ここに隠れてるなんて思いもせずに、無防備にあけた」 あのときなら、ユウヤたちの背後をこっそり、すりぬけて外に出ることもできたかもしれない。 ユウヤは、たずねてみた。 「シオンは、どうやって、ここに入ったの?」 「マスターキーを持ってる」 なるほど。建物の所有者だから、当然と言えば当然か。 「じゃあ、最初に、おれたちをここに閉じこめたのも、あなたですか?」 にっこり笑って、シオンは答える。 「そうだよ」 「………」 やっぱり、信用してはいけない人だ。キリトの言うとおり。でも、抗いがたいほど魅力的だけど。 急に、キリトが言った。 「カギ持ってるなら、おれたちをここから出してくれよ」 「今はダメ。エサがいなくなったら、ルナを呼べなくなる」 「………」 一瞬、なぐって、カギをうばってやろうかとも思った。が、なんとなく、ためらわれる。 自分でも、わかる。そうとうマズイ。グイグイ、ひきこまれるように惹かれていく。 「まあ、全部、終わったあとなら出してもいいよ。新しい実験には、まだ時間が必要だからね」 キリトが二人がかりでシオンをやっつけようと言いださないか心配した。が、何も言わない。キリトもシオンの毒にあてられてるみたいだ。 それで、四人で、ろうかに出た。 「ルナは、あと二体ね。地下に行ってみる?」 「一体は実験室のクサリにつないであるよ。貴重な実験体だから、逃げださないように」と、シオン。
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