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たしかに、そうだ。そうとしか考えられない。 「おれたち以外に人はいないんだから。そのために外に出ていったんだ。あいつ」 ナオトのことばを聞き、ヒロキは笑えるほど、うろたえた。 「なんでだよ?」 「さあ? そこまで知らないよ。まあ、イタズラじゃないの? おれたちの泣きっつら撮って、遊んでるのかも」 ヒロキは単純なので、とたんに怒りだした。 「マサル! そこにいるんだろ? さっさと、あけろよ。ふざけんな」 扉を何度も叩く。が、返事もなければ、とうぜん、ドアもあかない。そのうち疲れて、ヒロキは叩くのをやめた。 「チクショー。あいつ。あとで、おぼえとけよ」 「だけど、なんで、マサルが、ここのカギなんか持ってるの?」 エリカがマトモなことを言う。 「そのへんに落ちてたんだろ」と、ナオト。 まあ、そんなところだろう。ほんとにカギをかけたのが、マサルなら。 「どっか、ほかの出口、探してみる?」 ユウヤは言ってみた。 これ以上、ここにいるのは危険な気がする。 「そうだな。そのほうが早いかも」 ヒロキが納得したので、みんなで歩きだした。今度は女の子たちも文句を言わなかった。少人数で残されるほうが怖いのだろう。 ひとかたまりになって、暗いろうかを歩いていく。 ホールの受付の奥は、ナースステーションと診察室。裏口はない。窓も、さびついてあかない。というより、作りつけだろうか。最初から、あかない構造のようだ。 ホールまで帰り、今度は逆向きに歩いていった。さっきの病室のあたりだ。 「うわっ。ここ、手術室だ。ヤバイだろ」 「ずっと使ってなさそうだ」 ここもクモの巣だらけだ。 一階には、外に出られそうな場所がなかった。ろうかの奥に非常口はあった。しかし、ここもカギがかけられている。 切羽詰まった声で、ヒロキが、つぶやく。 「ダメだ。出られない」 「いっそ、窓やぶれば?」と、ナオト。 「ここの窓、金網、はさんだやつだろ。割れるかな」 「割れないんじゃないかな」と、言ったのはアスヤだ。 「試してもいいけどさ。でも、ここ、廃屋にしては、きれいだろ? 持ちぬしがいて、管理してるんだ。おれたち不法侵入のうえに、器物損壊罪で訴えられるぞ」 アスヤの家は金持ちだから、他人と争うのを嫌う。 ヒロキが頭をかきまわした。 「わかったよ。じゃあ、窓やぶるのは最後の手段に、とっとこう。二階とかなら、窓あくかもな」
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