禁断の恋

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『この携帯、社長の携帯だよな』 『何かあったのかな』 『店の前で何をしてるの?』 近づいてくる美佐を一也とマコトと保は同時に見つめた。 『美佐ちゃん、社長のこと知らないかな』 『お兄ちゃん?知らないけど、どうかしたの?』 『出勤してこないんだ』 『風邪で休んでるんじゃないの』 『……』 先に美佐が店の中に入ると続けて一也とマコトと保も中に入っていった。 ー弁護士事務所ー 『和真、今日の依頼人は?』 『今日は…』 和真が手帳をひろげ調べていると勝也が現れた。 『どうしてここに!』 和真が驚くなか豊が口を開いた。 『勝也…』 『え…』 和真は勝也に目を向けた。 『豊さん』 勝也は豊に駆け寄り抱きついた。 『2人は知り合いなんですか?』 『俺の義理の弟で恋人の勝也だ』 『義理の弟…』 和真は寄り添う勝也と豊をじっと見つめた。 『和真、社長室にいるから何かあったら知らせてくれ』 豊は勝也を社長室に連れていった。 和真は机の椅子に座り昨日の勝也の引き裂かれた服装を言うべきか言わないべきか迷っていた。 ー社長室ー 昨日、家に帰ってこなかったな、何をしてたんだ』 豊はソファーに近づき座った。 『昨日…店を閉店し店を出ようとしたとき知らない3人の男に乱暴された…男なのに怖かった…暗い店の中で…』 勝也は昨日のことを思いだし身体を震わせながら涙を流した。 ソファーから立ち上がると豊は勝也を抱き締めた。 『豊さん…』 『勝也』 豊は勝也の唇に唇を重ねた。 その後、勝也は心が落ち着きソファーに座ると身体を倒し眠りについた。 『……』 『ゆっくり休め』 豊は社長室を出ていった。 『社長、彼は?』 『眠ってる…和真、お前が看病したのって勝也だろ』 『はい…引き裂かれた服を見ました』 『和真、お前に大事な話があるんだ』 豊は和真を奥の部屋に連れていきソファーに向かい合って座った。 『大事な話って何でしょうか?』 『この事務所をお前に任せて俺は勝也の店を手伝おうと思ってる』 『急に私に任されても困ります』 『わかってる、わかってるけど…側にいてやりたいんだ…頼む、和真』 真剣な顔で豊は和真に頭をさげた。 暫く考えると和真は優しく微笑みながら口を開いた。
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