禁断の恋

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『よかった…いただきます』 豊も箸を掴み料理を食べ始めた。 『豊さん…』 『江梨に離婚届を渡してから仕事に行くから勝也は先に行っててくれ』 『……』 『どうした?』 『江梨と離婚が成立したら俺と豊さんとの仲が親父達にばれるな』 勝也は悲しげな顔になった。 『ばれても俺は勝也さえいればそれでいい』 『豊さん』 真剣な顔の豊を見て勝也は嬉しい気持ちになり目から涙が流れた。 豊は椅子から立ち上がり勝也の隣の椅子に座ると手で勝也の涙を拭った。 『泣き虫だったんだな』 『嬉しくて涙が…』 言いかけた勝也は豊に唇を唇で塞がれた。 その後、家を出ると勝也は店に向かい豊は江梨に会いに向かった。 豊は歩きながら江梨に電話をかけた。 『もしもし…』 『もしもし俺だ、今から家に行っていいか』 『今から仕事に行くから』 『すぐ済むから』 『わかった、家で待ってる』 『すまない』 通話を切ると豊は急いで江梨が待つ家に向かった。 それから30分後、江梨が待つ家についた豊はインターホンを鳴らした。 その後、ドアが開き江梨が現れた。 『鍵が開いてるから勝手に入ればいいのに』 『そういうわけにはいかないだろ』 『どうぞ』 江梨は豊を家の中に招き入れ家にあげた。 その後、江梨と豊はリビングに行った。 『何のようかしら』 江梨が問いかけると豊は離婚届と指輪をテーブルの上に置いた。 『俺の名前は書いてある、あとはお前の名前だけだ』 『……』 『どうした?』 『豊さん、本気で私と別れて勝也と…』 『本気なんだ…すまない…』 『身内に夫をとられるなんて思わなかったわ、しかも男に…』 江梨は涙を流しながら言った。 『すまない』 『……』 離婚届の紙に名前を書きハンコを押すと江梨は指輪をはずしテーブルの上に置いた。 豊は離婚届の紙を掴みその場を離れ玄関に行くと江梨に呼び止められた。 『何だ』 振り返り江梨を見つめると豊は江梨に頬を叩かれた。 『許さないから、永遠に許さないから』 『…指輪は売るなり捨てるなりしてくれ…それじゃあ…』 豊は靴をはき家を出るとホストクラブ輝きに向かった。 江梨は玄関先で座り込み声を出しながら涙を流した。
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