禁断の恋

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その頃、勝也は社長室で机の椅子に座ってパソコンで仕事をしていた。 『……』 それから暫くしてノック音がした。 『どうぞ』 勝也が返事をするとドアが開き眼鏡をかけた男が現れた。 勝也は顔をあげ男に目を向けると驚いた顔で椅子から立ち上がった。 『何のようだ』 『美佐のお姉さんの夫と出来てるんだって』 男は勝也に近づいた。 『君には関係ないだろ、それより美佐に暴力は止めて幸せにしてやれ』 『……』 男は勝也を壁に押し付け耳元で囁いた。 『閉店した暗い店の中で3人の男に乱暴されたよな』 『どうして知ってるんだ…』 『3人の男の1人は俺だ』 『え…』 『俺のものにならないか』 驚く勝也を床に倒すと男は勝也の上服を引き裂き肌に触れた。 『やめろ』 勝也は暴れ抵抗した。 男は勝也の両手首を掴み『美佐と別れてあんたにしようかな』と言って男は勝也の肌に口づけをした。 『ん…やめ…』 『そそる顔だな』 『やめろ』 勝也は男にむりやり乱暴された。 そこへ豊が現れた。 『何をしてんだ』 豊は男に近づき勝也から離れさせた。 『大丈夫か』 豊は勝也の身体を支えながら立たせた。 『もしかして美佐の義理の兄貴か』 『何だお前は、なぜ勝也を』 『美佐から聞いて、興味がわいたんだ』 『今回は見逃してやるから、勝也に近づくなよ』 『……』 険しい顔の豊を見て男はニヤリと笑い社長室を出ていった。 『豊さん』 『勝也』 豊は勝也を抱き締めた。 『……』 勝也は豊の温もりに落ち着き目を閉じた。 その様子をマコトが少し開いたドアから覗いていた。 『……』 『何をしてんだ』 『……』 マコトは口に指をあて近づいてくる一也に静かにと合図をすると一也も中を覗いた。 『社長…』 一也とマコトは火照った顔で豊と口づけを交わす勝也の姿に見とれた。 気配を感じた豊は口づけを止め一也とマコトに目を向けた。 『何かようですか?』 『……』 築かれた一也とマコトは覗きを止めた。 『どうしたんですか?』 『誰かがドアの隙間から覗いてたんだ』 『え…』 勝也はドアに近づき少し開いたドアをさらに開くと一也とマコトが立っていた。 『一也、マコト、こんなところで何をしてんだ』 『……』 勝也の問いに一也とマコトは黙り込んだ。
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