禁断の恋

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『仕事中のはずだろ』 『……』 『何で何も言わないんだ』 『…仕事に戻ります…』 『俺も』 『一也、マコト』 『勝也』 豊は勝也の腕を掴み引き寄せるとドアを閉めた。 『まだ話は終わってないのに』 『もういいじゃないか』 『よくない…仕事もしないで…』 勝也は頬を赤らめた。 『あの2人にキスを見られたから怒ってるんだろ』 『黙って隙間から覗いてたんだよ、怒るに決まってるだろ』 『……』 豊はドアから離れる勝也の手首を掴み引き寄せると唇を重ねながら壁に押し付けた。 『豊さん』 『俺は愛し合ってるところを人に見られても構わないけど』 豊は勝也の唇に唇を重ねながら舌を絡ませた。 『んん…』 『勝也…』 激しい口づけを交わすと豊と勝也はソファーで愛し合った。 その頃、一也とマコトは接客をしていた。 『一也君、話し聞いてる?』 『え?…何?…』 『もういい帰る』 怒った女性客はソファーから立ち上がった。 『どうしたんですか?』 『今日の一也君、私の相手をするより別のことを考えてるみたいだから帰るわ』 女性客は一也から離れていった。 同じ頃、マコトも女性客を怒らせ帰っていかれた。 それから時間が過ぎ仕事が終了したホスト達は控え室で衣服に着替え始めた。 『社長の顔が忘れられなくて女性客を怒らせてしまった…はぁ…』 『お前もか』 一也はマコトに近づいた。 『一也さんも?』 『あぁ…』 『一也さん、社長を俺達のものにしませんか』 『ものにするってどうやって』 『一也さん、耳を…』 マコトは一也の耳元に企みを囁いた。 その頃、社長室の勝也は机の椅子に座ってパソコンで仕事をしていた。 『豊さんのこと皆に紹介できなかったな』 『明日、紹介してくれればいいさ』 ソファーに座っている豊は立ち上がり勝也に近づいた。 『まだ終わらないのか?』 『もう少しで終わるから』 パソコンを打ちながら勝也が答えると豊は勝也に抱きついた。 勝也は豊の左手に目を向け『指輪はどうしたんですか?』と言った。 『江梨の家に置いてきた…売るか捨てるか、江梨に任せようと思ってな』 豊は勝也から離れポケットから離婚届の紙を出すとパソコンの上に置いた。
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