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「何故か蔑視されるから、オタクに見られたくないの」
今度は俺が唇を尖らせる。
俺だって、変な目で見られないんだったら、胸張って『オタクです』って名乗ってるっつーの。
「ネット小説を書く人が、読む人が、ボカロ曲を作る人が、聴く人がオタクだというのなら、私はオタク様様です。オタクのみなさんが私の小説を読んでくれたお陰で、今私は、一生関わる事もなかっただろうアーティストの桜沢さんと対談が出来ている。
アレですね。中途半端なオタクでいるからいけないんでしょうね。私たちみたいに、拗らせて突き抜けたオタクになれば、それが職業になってお金になりますもんね」
秋が『いいじゃん、オタク。アナタも私もオタクでいいじゃん』と同じを(自分もだけど)オタクに仕立て上げながら明るく開き直った。
「ポジティブー」
俺には出来ない考え方に呆気に取られるも、秋の言葉で心がスっと軽くなった気がした。
「ネットって、オタクだの何だのって、時々物凄く辛辣な言葉で攻撃してくるけど、でも私は、そのネットがあったからここまで来られました。私は、オタクとネットの力を信じてる」
力強くそう言って笑う秋。
「俺も」
俺も、ネットがなければ、こんなに最高な環境で音楽は出来ていなかったかもしれない。
ネットとオタクに感謝。
それを教えてくれた秋にも。
秋に出会えて良かった。
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