230人が本棚に入れています
本棚に追加
スマホを耳に当て、何コールか待つと、留守電に繋がった。
秋は電話に出なかった。
静かに電話を切ると、
「…出なかったか。とりあえず、行こう。悠斗」
秋が電話に出なかった事を悟ったマネージャーが、俺の腕を引っ張った。
「行かねぇわ。秋、誰かとシフト代わったのかもしれないし。まだ働いてるのかもしれないし。疲れて寝てるのかもしれない」
秋のバイトは24時間のファミレスだった。たまにシフトの交代や、突然休んだコの代わりに働く事もあった。
「病院に秋さんじゃない事を確認しに行くんだよ!! 死んだのは秋さんじゃないんだろう!?」
信じられないし、信じたくないし、信じていないから、一向に動こうとしないオレの両肩を、マネージャーが激しく揺すった。
秋じゃないにしても、人がひとり死んでいる。
俺の態度は違うのかもしれない。
「…分かった。行く。秋じゃない事を確かめる」
死んだのは、絶対に秋じゃない。
最初のコメントを投稿しよう!