断線。

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 スマホを耳に当て、何コールか待つと、留守電に繋がった。  秋は電話に出なかった。  静かに電話を切ると、  「…出なかったか。とりあえず、行こう。悠斗」  秋が電話に出なかった事を悟ったマネージャーが、俺の腕を引っ張った。  「行かねぇわ。秋、誰かとシフト代わったのかもしれないし。まだ働いてるのかもしれないし。疲れて寝てるのかもしれない」  秋のバイトは24時間のファミレスだった。たまにシフトの交代や、突然休んだコの代わりに働く事もあった。  「病院に秋さんじゃない事を確認しに行くんだよ!! 死んだのは秋さんじゃないんだろう!?」  信じられないし、信じたくないし、信じていないから、一向に動こうとしないオレの両肩を、マネージャーが激しく揺すった。  秋じゃないにしても、人がひとり死んでいる。  俺の態度は違うのかもしれない。  「…分かった。行く。秋じゃない事を確かめる」  死んだのは、絶対に秋じゃない。
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