225人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
------------秋がこの世を去って1週間が過ぎた。
毎日秋の事を考えては、嘆き、自分を責め、秋の面影を探しては、泣く。
そんな中でも、俺の頭には五線譜が浮かぶ。
自分が嫌になる。
悲しいのに。悲しいはずなのに。なんで音楽が出来てしまうのだろう。
曲が出来ても、歌えない。
歌う気になれない。
秋を想うと、歌えるわけがなかった。
秋は人生最後の日、どんな気持ちで俺のライブを見ていたのだろう。
マネージャーの言う通り、俺の事を好きでいてくれたからだろうか。
秋から逃げた俺を、恨んではいなかっただろうか。
秋は、何で誰にも何の言葉も残さず逝ってしまったのだろう。
…本当に、何もないのか?
秋のアパートの部屋は、秋の家族がもう引き払っている。
行ったところで何もない。
ふと、机の上のパソコンが目に入った。
…ブログ。確か秋はブログをやっていた。
パソコンを立ち上げ、秋のHPを検索する。
片っ端から読みふけるも、秋らしい前向きな文章が、最期の日まで綴られているだけだった。
ブログにも何も書かれていない。
何気なくコメント欄を開いた時、マウスを持つ手が震えた。
一瞬、息が止まった。
最初のコメントを投稿しよう!